2010年02月06日

投稿・持込作品の採用基準その2

その2 心が動くマンガが描かれていること

具体的にはこういう言い方でした。

たとえば

「二度と会うことが出来ないと思っていた愛する人が『ただいま・・』といって自分の元へ帰ってくる」

という見せ場のシーンがあったとき、そのシーンを感動的に見せることができるかどうかということ。

そのシーンを構図やアングルなどビジュアルな要素でいかに感動的にみせるか・・ということではありません。

その二人がどういう状況で分かれざるを得なかったのか、なぜ再び会うことが出来るようになったのか、二人のお互いのことを思う気持ちがどういうものだったのか・・・など、そのシーンに至るまでの二人の経過が描かれていないと、感動するシーンにはなりませんよね?

ということでした。


以下は私の考えです。

「心を動かす」というのは、言い方をかえれば「構成力」があるかどうかということです。
キャラクターの描写、ストーリー展開の順序、演出などビジュアルではない部分の描写能力です。

「心を動かす」というのは「感動して泣かせる」というだけではなく、「笑わせる」「怒りを感じさせる」といった、人間の喜怒哀楽を操作するを言います。

それらを操るにはかなりの計算が必要になり、緻密に構成していく必要があります。
思いつきだけでは『心を動かす』ことはできません。


「心を動かす」構成力をどうやって身につけるのか?
自分の中に無いものをいくら計算して構築しても何も作れないのは明白です。
自分の中に、その体験が「ある」か「ない」かということが、かなり影響してきます。
実体験で感じた『喜怒哀楽』はもちろんですが、映画や小説から受けた感動はたくさんあるはずです。
自分が受けた感動は、それぞれどういう経路を経て感動したのかの分析が重要になります。

「こういう経過や描写があった時」に「こういう感動って生まれる」という事が分ると、その仕組みを応用できる事になります。

「ミラーニューロン」の話の時に、「人の表情」をみて、その表情をした時の自分の感情を思い出すことによって、「人の感情が理解できる」という仕組みに人の脳はできているということを書きました。
この「心を動かす経過」というのも、その経過を自分が知っていないと「心が動かない」し、描写もできないということになります。

マンガ家志望の新人は、たくさん本を読め、たくさん映画を観ろといわれます。
疑似体験することによって、「心を動かす」ための「構成の方程式」を理解しろということなのだろうと、最近の私は思っています。

ということで、「マンガのマンガ2」では、「構成力(心を動かす方法)」について描こうと、昨年から四苦八苦しています。

残るひとつの採用基準は次回に

2010年01月31日

投稿・持込作品の採用基準その1

某大手の少年マンガ週刊誌の編集の方の話を聞く機会がありました。
その中で、大変興味深い内容があったので書いてみたいと思います。

採用の基準には3つあるそうです。

その1 分るマンガが描かれていること

簡単に言えば、「何が描かれているか読んでいる人が分るかどうか」ということ。

セリフが書かれていても、文字が汚くて読めないという事から、キャラの描き分けができていなくて、誰が誰だかわからないとか、コマワリが独りよがりでちっともストーリーが理解できないといったようなことです。

そんな初歩的な事も描けないで投稿や持込をするのか・・とあきれるひともいるかもしれませんが、事実存在するのでしょう。

そんな初歩的なことではなくても、分からないマンガを描く人は結構います。
それらの人はそこそこ絵も描けるし、もちろん読める字でセリフは書かれています。

それでも、分らないマンガというのは存在します。

昨年、投稿作品を数多く読む機会がありましたが、何が描かれているのか理解するのに苦労する作品が多かったです。

その経験を通して、結局のところ「分らないマンガ」というのは「マンガの文法が分っていない」ということなのだろうと私は感じました。

編集の人の言っていた「分るマンガ」の意味は「マンガ文法に沿って描かれているマンガ」だと言い換えることができると思っています。

この「分らないマンガ」を描く人というのは、専門学校マンガ専攻の学生にも多く存在します。

・誰が話しているセリフか分らないい
・二人以上いる登場人物がどういう位置関係にいるのか分からない
・場所がどこで、いつ、何をしているのかが分らない。

いわゆる「5W1H]といった基本や、ストーリーを伝える段取りを無視して頭の中にあるイメージを好き勝手に描いているから、読むほうは理解できない。
本人はすべて頭の中で展開や内容が把握できているので完璧だとおもっているわけです。

もちろんちゃんと分るマンガを描く学生はいますが、おおよそ1〜2割です(10人学生がいたら一人か二人という割合)

専門学校では、まず「分るマンガを描くこと」をしっかり学ぶことが必要。
それを、どうやって教えるのかが難しいけれど、方法はたった一つ。
まずマンガを描かせて、それについて「なぜ分らないマンガになっているか」をマンツーマンで指摘する。

それでも、一度では理解してもらえない学生もいます。
もうあとは根比べになります。

マンガ家志望初心者は、まず「分るマンガ」を描くことを目指しましょう。

ここでCMをするのも気が引けるのですが、「マンガのマンガ」は分るマンガを描くための初心者向けの「マンガ文法」のマンガです。
このマンガを読んだからといって、すぐに完璧に「分るマンガ」が描けるようになるとは言いません。
マンガというのは頭で理解しても描けるものではないからです。
それを実践していく過程で、理解し身に付いていくものなのです。

ぜひ目を通して活用してほしいです。

2010年01月25日

シンケンジャーとW

シンケンジャーの影武者のアイデアにはぶっ飛びました。
戦隊シリーズでは前代未聞のレッドの「交代&女」。
ここ数回の放送はテレビにかじりついて観ています。
昨日の放送では目頭が熱くなりました。
王道的な、どうなるか分っている展開なのに夢中にさせるのは、あの見事な演出の力でしょう。

来週が最終回ということで、期待しています。

相変わらず面白い「W]ですが、「アクセル」はやりすぎではないのかと。
そんなにおもちゃが売りたいのかと。
そんな印象でした。

カッコいい!という印象ではなく。
「ぷっ」という感じでした。
バイクに乗るから「ライダー」だと思います。
あれはバイクそのものなので、ライダーではないと思う。
でも、キャラクターが面白いので許してしまう。

変身前に重そうに引きずっていた武器を、変身後に軽々と扱う演出は見事でした。
posted by かとう at 06:35| Comment(0) | TrackBack(0) | 映画・TV

2010年01月17日

会話だけで展開するマンガ

昨年末、投稿マンガを数多く読ませてもらう機会がありました。

賞に入る人と落ちた人の作品の差は、マンガを見せているかどうかの差でした。

賞に落ちた人のほとんどに共通する事がありました。
世界観やキャラクターを設定し、さあマンガを描くというときにどうやってマンガにしていいか分らないので、「登場人物達の会話」で「世界観とキャラクターを伝える」という展開をさせます。

会話が行なわれる場所は酒場であったり出会ったサブキャラの家であったりします。
そして、キャラクター・世界観が説明した後、主人公と敵の戦闘場面を描いておしまい・・・というパターン。
モノによっては、最後まで会話だけということもありました。

印象としては、マンガではなく設定を読んだ感じです。


セリフによる「会話だけ」では、読者に共感は生まれません。
登場する人物が行動し体験していることによって、読者も同じ体験を経験し感情移入ができるわけです。

ミラーニューロンのことを前回書きましたが、表情だけでなく体験していることを実際に(マンガのコマの中で)目にすることで、その時のキャラクター達の心の動きも感じ取ることができるはずです。

当然といえば当然ですが、賞に入った人の作品はキャラクター達の行動によってストーリーが展開していきます。

自分が描こうとしているマンガの世界観・キャラクターを詳しく伝えなくては・・・・と思うのでしょうが、それらは設定として抑えておくものです。

最近の風潮として、マンガを描く時「まずキャラクターと世界観を詳細に設定しよう」というような事が言われているように思うのですが、それはあくまで設定でしかありません。
それらの設定をバックボーンとして、ストーリーを構築する際に基礎にしましょうということなのです。

設定をコマで説明しても、決してマンガにはならないことを理解してほしいです。

2010年01月15日

ミラーニューロンの話

ミラーニューロンってナンだ?って思われるでしょうね。
普通の人なら知らなくて当然です。

最近、「脳科学」がもてはやされています。
茂木健一郎という人の本はとても具体的で分りやすいので、数冊読みました。
もともと「脳」には興味があり、養老先生の「唯脳論」なども読んだことがあるのですが、難しくてついていけなかったのです。
「脳の中の幽霊」などという本も読みましたが、面白いけど難しくて読むのに難儀をしました。

とまあ、そんな話はさておいて「ミラーニューロン」のことです。脳がイロイロな認識をしたり考えたり出来るのは、微小な電気で脳細胞に刺激を与えて情報をやり取りするからなのですが、ニューロンというのは、情報によって様々な働きをするシステムのユニットみたいなものです。

様々なニューロンが作動して脳は活動しているらしいのですが、その中のひとつに「ミラーニューロン」が存在するらしいのです(言葉の使い方や詳細についてはやや曖昧ですみません)。

で、具体的にどういうものかというと、

「人の表情を見た時、その人がどういう気持ちか理解できる」

ということが可能になるということなのです。
当たり前のことのようですが、その構造をくわしく解説すると、

1 人の表情を見る・確認する
2 自分がそういう表情をするときの自分の感情を確認する
3 その感情がそういう表情をさせていると認識する
4 その人の気持ちを推測し、理解できる

ということなのです。
これも、当たり前だと思いますよね、生活しながら日常体験していることですから。

で、ここでマンガの話につながります。

「マンガの描き方を教える難しさ4」で「コマの中にセリフを話している人が描かれない」という事を書いたのですが、まさに「ミラーニューロン」の話に関わってくるのです。

セリフだけ書かれていても、人物が描かれずその表情が読み取れないと、たとえ「悲しい」とセリフが書かれていても悲しさは絶対に伝わらないということになります。

セリフを書くときは人物も側に描き、表情をちゃんと描きましょう。
それが「心を動かす面白いマンガを描く基本」だと思います。

「脳」はそういう仕組みになっているのですから、それに従うしかないです。