2015年08月25日

同じ絵を3回描かねばならないマンガ制作作業


作品を完成させるには、ネームから仕上げ作業までの工程で同じような絵を3回描かねばならない。
面倒な作業ではあるのですが、案外それが楽しく感じられるのは何故なのか…考えてみました。

コマの中に描かれる「セリフと絵の連動」こそが、マンガを面白く見せる表現の特徴だと思っています。
「セリフと挿絵」の関係では、マンガとしての面白さは伝わりにくいものです。

プロットやシナリオは文字だけですが、ネームになるとコマ割りされて絵とセリフが入る事になります。
これが第1回目の絵入れ。
文字だけではなく「絵とセリフが連動したものになる」ので、シナリオより「マンガとして面白く」なっています。

下描きは2回目の絵入れ。
絵が詳細になるので、「絵とセリフの連動がより明確になる」ため、マンガとしてはネームの時よりより面白くなっているはずです。

3回目の絵入れは、ペン入れ・仕上げ作業。
仕上がった原稿は絵が更に詳細になり、加えてタッチまで伝えられるので、下描きより面白いマンガになるに決まっています。

こうして、描いている作品の「レベルアップ」が各作業毎に実感できるので、3回同じ絵を描くのが苦痛じゃないのだろう‥と私は思っています。

posted by かとう at 04:37| Comment(0) | マンガ専門学校の講師の仕事

2015年08月18日

見づらい原稿(ツイッターのまとめ)


先日行われた「ストーリー作り」のマンガ講座での話。

参加者の中に、既に担当付きのマンガ家志望者がいました。
講座終了後、「担当さんから私の描く原稿が見づらいって言われるんです。」と、最近作の原稿を見せられました。
拝見すると確かに担当は付く…と思われる程のしっかりした画力で、プロ並みの上手さ。

見づらいと思われる原因が幾つかあったので、その点をお話ししました。

1点目。
コマ内にスペースがあるにもかかわらず、フキダシが人物に被さって人物の一部が常に隠れている。
フキダシに隠れていて「絵がスッキリと見えない」コマが続くと、不満感が生じる。

2点目。
フキダシがコマからはみ出し、コマとコマに被さっている。
そういう形で描かれたフキダシを多用すると、セリフが主張して絵が目立たなくなり、見づらい画面になりがち。

3点目。
キャラクターのコマのブチ抜き表現が頻繁に描かれる。
ポイントとしての使われていればOKだが、多用されるとコマの流れが混乱し、見づらくなる。

4点目。
描きこ込んだ絵柄なのに、コマとコマの境界を1本だけで処理されているコマ割りが目立つ。
描き込んだ絵柄を1本に枠線で区切ると、枠線が目立たなくなり2つのコマの絵の見分けがつきにくくなる。
「間白」をとってコマの区別をつけると見やすくなる。

この文章だけでは伝わりにくいと思いますが、原稿の該当部分を指摘してアドバイスをしたので、ご本人には伝わったようでした。

ビジュアル的な表現に関して編集の方は専門外なので、「見づらさ」は感じても、「どう描いたら見やすくなるのか」というアドバイスは難しい のだろうな…と思いました。




posted by かとう at 06:06| Comment(0) | マンガ家を目指す皆さんへ

2015年08月10日

「5W1H」ってどういう風に考えればいいの?


「マンガの描き方」本には

「5W1H」をしっかり描く事が大切

…ということは書かれていても、マンガを描く上で「どう活かしたらいいのか」に関しては具体的な説明はほとんどなく、曖昧な扱い方が多いようです。

分かる人には分かるのかもしれませんが、過去の独学中の私には分かりませんでした^^;
好きな先生方のマンガをたくさん読んでいるうちに、「マンガを描くノウハウ」を自然と身につけるようになったのですが、「5W1H」に関しては結局のところよく解らないままでした。

マンガ家志望者の作品添削の仕事や学校での学生達の作品を見ていると、作品として成立していないものが多く提出されます。
何が足りないのだろうか? と思案した末に、「5W1H」が描かれていない事に気付き、なるほど「5W1H」とはこういう事なのか!と初めて自分でも理解できた次第です。

「ストーリーマンガ」の構造について理解しておかないと、「5W1H」をどうしたらいいのか混乱すると思います。
私自身がそうでした。

「ストーリーマンガ」は、エピソードの組み合わせで構成され、一つのストーリーとして成り立っています。
各エピソード毎に「5W1H」が必要になり、全体を通した「5W1H」は別に「本筋」として必要になります。


分かっている人にとっては当たり前のことなのですが、分かっていない人も多いです。
エピソードの「5W1H」と全体の「5W1H」を混同している人が特に目立ちます。
知っていれば、何が足りないのかが容易に判断できるようになります。
「5W1H」について、具体的に解説したマンガの描き方本を見た事がないので(あったらすいません^^;)、講師をしている立場として描く必要性を感じました。
「5W1H」を理解できなかった過去の自分に向けて描いたのが「マンガのマンガ/ストーリー構成編」というマンガです。

宣伝になってしまい申し訳ないのですが、かなり「5W1H」を理解する足がかりにはなるのではないかと考えています。

image.jpg
「マンガのマンガ/ストーリー構成編」の一部。

posted by かとう at 20:17| Comment(0) | マンガの作り方

2015年08月04日

「ストーリーマンガ」を描くエネルギー


いたずら描きのようなマンガを描き始めたのが中学生の時、オリジナルのキャラクターを作って本格的に「ストーリーマンガ」を描き始めたのが高校3年生の時ですから、既に50年近く何らかの形で「ストーリーマンガ」に関わっていることになります(もっとも、プロとして原稿をお金に換えることが出来るようになった時間はその1/3くらいの時間ですが)。

つくづく思うのですが、「ストーリーマンガ」を描くにはとてつもないエネルギーが必要なのだと感じます。
なぜこんな事を書いたのかというと、専門学校での「ストーリーマンガ」製作の授業では学生達は「描く作業」をするわけですが、その進行状況をチェックしながらアドバイスをして指導していると、学生達がひたすらただ描くだけの時間が流れていくわけです。
下描きやペン入れ作業に入ると、ただ作業を見守るだけという授業の週もあったりします。
学生達が机に向かってペンをひたすら走らせている様子を傍から見ると、先週と同じ事している様にしか見えないけれど、ページは進んでいるのが確認できます。
手の早い遅いの差はあるにしろ自分もこういうことをして描いてきたわけですから、人並みではない根気と集中力の凄さを改めて感じたのです。
実際に今私が受け持っているクラスの子は(全員ではないのがチョット残念ですが)、授業時間中はものすごい集中力で作業をしています。

でも、「ストーリーマンガ」を描くということは、それが「当たり前」であり「大前提」なのです。
それが出来ないと、「ストーリーマンガ」は描けるものではありません。
集中力・持続力が基本としてあって、その上に演出力や絵の技術力やストーリーの構成力など向上が必要になるわけですから、習得するためのエネルギーは膨大なものになります。
自分のことを振り返ると、それらのことを少しづつではあるけれど確実に身につけてきたわけです。


身につけるべき必要な技術は様々ありますが、基本的に大事なことは「ストーリーマンガ」を「描くのが好き」という「エネルギー源」を持っていることです。
そして、ひたすら描くこと。
すべての技術はいつの間にか身に付きます。

最近は歳のせいか頑張りがきかなくなっていて、若い学生の体力・集中力がとても羨ましく思える今日この頃です。



posted by かとう at 05:49| Comment(0) | マンガ専門学校の講師の仕事