2015年10月27日

講師になって見えてきたもの


今の私の仕事の大部分は「マンガを教える・添削をする」ということに費やされていますが、こういう立場になると見えてくるものがあります。

「人に見せるためのマンガ」には描き方のレベルがあり、それぞれのレベルがクリアできて初めて「面白いマンガ」を描くには・・・・・という段階に入ることができるのだ…という道筋がハッキリ確認できるようになりました。

専門学校で「教えられること」と「教えられないこと」の線引きが自分の中でできたということです。

「人に見せるためのマンガの描き方」というのは知識(構成や演出)・技術(正確なデッサン・パース・画面構成)であり教えることができます。
その知識を実践できるように練習することで、身につけることができます。

専門学校というのは、これらを学び実践するところなのですね。


専門学校で「教えられないこと」があります。

それは「面白いマンガ」の具体的な描き方。

「面白いマンガ」を描くには、マンガを描く知識(構成や演出)や技術(正確なデッサン・パース・画面構成)だけでは足りません。
「何を面白いと感じるのか」という作者のインスピレーション・アイデア・発想が重要になるからです。
こればかりは個人の持つ「感性」に関わるものなので、教えようがないのです。


逆な言い方をすれば、「感性」のある人が専門学校に来れば、間違いなく面白いマンガが描けるようになるという事になります。
知識や技術など、程度の差はあれ時間をかければレベルアップするものだからです。



posted by かとう at 04:54| Comment(0) | マンガ専門学校の講師の仕事

2015年10月20日

マンガをみせているかどうか…が最初の関門



講談社フェーマス主催の「創作マンガグランプリ」の予選審査の為、毎年11月に数多くの投稿マンガ読ませてもらう機会があります。

予選を通過する作品と落ちた人の作品の差は、「マンガを見せているかどうか」という部分がかなり大きいです。

予選を通過しない人のほとんどの作品に共通する事があります。

世界観やキャラクターなどアイデアを出し、マンガを描くという段階になって「どうやってマンガにしていいか分らない」ので、「登場人物達の会話」で「世界観とキャラクターを伝える」という展開をさせる。

会話が行なわれる場所は酒場であったり出会ったサブキャラの家であったりします。
そして、キャラクター・世界観を会話で説明した後、主人公と敵の戦闘場面を描いておしまい・・・というパターン。
モノによっては、最後まで会話だけということもあります。

印象としては、マンガではなく設定を読まされた感じです。


セリフによる「会話だけ」では、読者に共感は生まれません。
登場する人物が行動する様子をみて、読者が擬似体験することによって感情移入ができるわけです。

表情だけでなく体験していることを実際に(マンガのコマの中で)目にすることで、その時のキャラクター達の心の動きも感じ取ることができるものなのです。

当然といえば当然ですが、予選を通過する人の作品は「キャラクター達の行動によってストーリーが展開」していきます。

自分が描こうとしているマンガの世界観・キャラクターを詳しく伝えなくては・・・・という思いが強いのでしょうが、それらは設定として抑えておくものです。

最近の風潮として、マンガを描く時「まずキャラクターと世界観を詳細に設定しよう」というような事が言われているように思うのですが、それはあくまで設定でしかありません。
それらの設定をバックボーンとして、ストーリーを構築する際に基礎にしましょうということなのです。

設定をコマで説明しても、決してマンガにはならないことを理解してほしいです。

posted by かとう at 12:26| Comment(0) | マンガ専門学校の講師の仕事

2015年10月13日

こういう学生が稀に存在する(困った編)


「がんばった事」を評価してもらいたがる学生がいた。
がんばった事に対しては、労(ねぎら)いの言葉はかけられるが、だからと言って「作品自体が優れている」という評価は出来ない。
評価は描き上げた作品の出来に対してするものだ。


「納得のいく描き方が出来ない!」と、いつまでたっても完成させられない自称「完璧主義」の学生がいた。
「納得のいく描き方」というと聞こえはいいが、「描けない」という言い訳でしかない事が多い。
まずは描き上げないと「どこに欠点があるのか」さえ判断できないものなのだ。
最初から完璧なものを描ける初心者など、滅多にいない。


ネームのチェックの際、必要な修正箇所の指摘をすると、修正をせず新しく全く違うネームを描いてくる学生がいた。
いつまで経っても先に進めないのだ。
仕方なく、修正チェックをせずOKを出すと、出来上がってきた原稿は全く違うものになっていた。


ほとんど無反応という学生がいた。
滅多に口を開かない。
プロットやネームのチェックの際に、アドバイスをしても反応がないために理解できているのか判断が出来ない。
アドバイスを参考に修正する様子もなく、マイペースで作業をし続けた。


posted by かとう at 05:54| Comment(3) | マンガ専門学校の講師の仕事

2015年10月06日

ストーリーマンガと4コママンガ


「創作マンガグランプリ」というオリジナルマンガのコンテストが講談社のKFSで毎年行われており、応募作品には全員に講評シートと講評文が返却されます。

新たに設置された4コママンガ部門用に、講評チェックシートを作った時の話。

ストーリーマンガと4コママンガの講評用のチェックシートを比べて、面白いことに気付きました。
ストーリーマンガのチェック項目の数に比べて、4コママンガのチェック項目の数はほぼ半分しかないということ。
つまり「4コママンガ」は「ストーリーマンガ」程、表現描写に気を使わなくても描けるということ。

例えば、ストーリーマンガにあって、4コママンガに無いチェック項目。
「メクリ」を意識したコマ展開が出来ているかどうか。

例えば、ストーリーマンガにあって、4コママンガに無いチェック項目その2
大ゴマや小さなコマの描き分けで、メリハリのあるコマ構成が出来ているか。

例えば、ストーリーマンガにあって、4コママンガに無いチェック項目その3
冒頭(導入部)が読者の興味を引く描き方になっているか。

その他いろいろありますが、ストーリーマンガの29のチェック項目に比べ、4コママンガのチェック項目は15でした。
4コママンガは入りやすい(描きやすい)マンガなのだろうと思います。

posted by かとう at 05:26| Comment(0) | マンガについて考える