2015年11月30日

独りよがりの「ストーリーマンガ」表現


自分の頭の中にあるモノが読者にも当然分かっている筈と思い込んで描かれている独りよがりの「ストーリーマンガ」の表現は 、分かりにくい展開になっている事が多いです。

マンガ家志望者の初心者は、一部の例外を除いてほとんどの作品がこの傾向の「ストーリーマンガ」になっているため、必死に理解しようと努めてコマを目で追って行くのですが、何度も後戻りします。
マンガを読むのがこんなに苦痛なものなのか・・・・と、ア然とする瞬間です。

こういう「ストーリーマンガ」を描かないようにするには、とりあえず「約束事としての基本的なマンガ表現」を忠実に守って描くしかないです。

ツイッターやブログを通じて何度も繰り返していて、「耳にタコ」かと思うのですが、大事な事なので繰り返します(;^_^A
守るべきは以下の4点。

★シーンの始まりには、背景とそこにいるキャラクターをしっかりロングショットで描き、舞台となる場所と人物の状況説明を読者に伝える。

★2人以上の登場人物が居る場合には、位置関係をしっかり描いて読者に伝える。

★基本的に人物とセリフは同一のコマ内に描き、誰のセリフなのかを読者にしっかり伝える。

★展開をセリフだけで伝えるのではなく、具体的に絵で描いて伝える。

少なくともこの4つがシッカリ守られていれば、そんなに分からない「ストーリーマンガ」表現にはならないはずです。

逆な言い方をすれば、これらを無視して描かれた「ストーリーマンガ」は、独りよがりの分かりづらい「ストーリーマンガ」表現ということになります。

posted by かとう at 06:36| Comment(0) | マンガ家を目指す皆さんへ

2015年11月23日

積極的に動く事が大事



十数年前、マンガ家志望者の交流の掲示板を運営していた頃の話。
担当さんにネームを送ったけれど一向に連絡をもらえず、「自分はもう見捨てられたのではないか」とか、「編集は忙しいのにこちらから連絡を入れては迷惑なのでは」と悩む人の書き込みが見られた。

その都度「忙しいからこそ、こちらから頻繁に連絡取るべき」とアドバイスしていた。
担当氏には「仕事の優先順位」があるから、どうしてもプロ未満の人の対応は後回しになりがちだが、気にしていることは間違いない。
だって、これからヒットを産むかもしれない「大切なマンガ家の卵」なのだから。

連絡を取る事によって、「こちら」も「あちら」も今の事情が分かれば、お互いに納得できる。
「相手に手間を掛けさせる」のではなく、「自分から動く」事が大切。

蛇足:
こちらが動かないと、編集サイドの視点として「ネームの返事連絡が出来ずだいぶ経つけど、なんの催促もないな。ヤル気あるのかな? もう少し放っておくか…。」という場合だってひょっとするとあるかも知れない。
そんな事でチャンスを失うのはもったいないと思う。

posted by かとう at 06:45| Comment(0) | マンガ家を目指す皆さんへ

2015年11月16日

マンガ家はどうやってマンガ家になれたのか?


専門学校なんて行かなくたってマンガ家になれるし、アシスタントに行く方がずっと効率的だという話をネットでよく見かけます。

間違いではないけど、そんなに単純な話ではないよな〜と思っていて、専門学校で教えている立場としては、専門学校の存在理由を考えることが多いです。


「マンガ家はどうやってマンガ家になれたのか?」


「マンガ家になりたいと思ったから」

という方と、

「マンガを描きたいから」

という方がいて、
それぞれマンガを描いて投稿や持ち込みをし、(最近ではコミケやWEBでスカウトということもあるようですが)

編集部に認めてもらった結果、

「マンガ家になった」

シンプルですが、それだけのことです。

そこで疑問を持たれる方もいると思います。
マンガ家になれる人となれない人が出てくるわけですが、その差は何なのか?

一番の理由は「マンガを描く量」だと思います。

マンガは頭で学ぶものではなく、身体で覚えるものです。
持って生まれた素質も影響しますが、基本的には練習量(完成作品を描く)がモノを言います。
それが分かっていない人が多いです。

専門学校の学生で、マンガを描いたことがない子が初めて描くマンガの完成度を高めようとして、なかなか描き上げられないというケースをよく見かけます。
始めて描くマンガが完璧に描けるわけがありません。

まず完成させることが大事だと伝えています。
1作しか描いたことのない人より、2作描いた人の方が力は伸びています。
2作より3作、3作より4作なのです。

ただし、ただ数を多く描けばいいというものではない。
完成させた作品を見返して、どこがダメな部分なのかを理解することが重要です。
その欠点を、次の作品で直していく。
その繰り返しが多いほど、作品は完成度が増して行くのです。

ところが、その「欠点」は自分ではなかなか分かりづらいモノなのですね。
どこが悪いのか分からずに次の作品を描き、同じ過ちを繰り返してしまいがちです。
私もそのループにハマり、難儀したことを思い出します。

その「欠点」は、第三者(プロの眼)に指摘してもらうのが最も効果的。
指摘と共に、具体的な対策も手に入れば「鬼に金棒」です。

そういう視点から考えると、常にプロのマンガ家が待機してアドバイスしようと待ち構えている「専門学校の存在理由」が見えます。
そして、「あるべき学生の姿勢」というのも見えます。

専門学校はマンガ家になる資格を与えるところではなく、回り道をしないでマンガ家になるための訓練をする所。
学生はその訓練に積極的に参加していく覚悟を持つこと。

そういうことなんだと思います。


posted by かとう at 06:09| Comment(0) | マンガ専門学校の講師の仕事

2015年11月02日

アイデアが出るしくみ


マンガ家になるためには「たくさん本を読んだり映画を観たたりすると良い」と言われます。

自分の作品作りの参考にするとか、どうしたら面白くなるのかの演出を学ぶとか、体験を豊富にするための「疑似体験」をたくさんしておくと役に立つといったような意味だと考えていました。

脳に関する本を読んでいて、面白い情報を知りました。

「アイデアが思い浮かぶ」とか「新しい発見をする」時の脳の「ひらめき」について書かれた本なのですが、「ひらめく」時の「脳の働き」は、「記憶を思い出す」時の働きと同じだということが脳研究では分かっているそうです。

そしてもうひとつ、脳に入った情報は脳に蓄積されますが、そのままの形で記憶に残るのではなく、常に脳内で編集されて形を変えていくのだそうです。

自分なりの勝手な解釈なのですが、納得できた理由は以下の通り。


たくさんの本を読み、たくさんの映画を観ることによって、ストーリーや知識や演出方法など、たくさんの情報がドンドン脳に蓄積されていきます。

その中で、印象に残ったことや興味をもったものに対しては、意識・無意識にかかわらず脳が整理し編集されて記憶として残っていきます。
新たに本を読み、新たに映画を観ることによって、さらに記憶が脳の中で編集され続けます。

マンガ家が作品を描こうとする時に「アイデアが浮かぶ」という工程は、これらの編集された記憶を無意識に「思い出している脳の働き」なのだということ。

重要なのは、「編集されたデータ」の形です。
日ごろ経験することですが、昔見たAとBの映画の内容がぐちゃぐちゃになって存在しないCという映画の内容になっている・・なんてことはよくあります。
無意識の中の自分がそれらの編集をしているわけです。

どういう基準でCという映画に編集したのかは分りませんが、潜在的に個人が持っている興味や嗜好が影響していることは間違いありません。

これらの編集されたデータがたくさんあればあるほど「ひらめく」確率が多くなります。
そして、存在していなかった「組合せによる斬新なアイデア」として「アウトプットされてくる」ということになる。


ということなのではないでしょうか。

アイデアは、蓄積の無い頭からは出てこない。
逆にいえば、「ひらめく」には「情報をたくさん脳に蓄えることが大事」ということになります。


posted by かとう at 06:27| Comment(0) | マンガ家を目指す皆さんへ