2017年03月02日

扉とタイトル



専門学校の学生がストーリーマンガ制作に取り組むと、扉ページは「最後」に描くことが多いようです。

私自身も最後に描いていましたが、その「最後」というのは、ネームを終えた「最後」です。
ネームを描き終えたあとで、内容の面白さを的確に伝えられる気の利いたタイトルを考えるのには毎度苦しみましたし、一目見て興味をそそるようなビジュアルは、どんな要素をどうやってレイアウトするのか知恵を絞りました。

ところが学生達は、原稿を描きあげた一番「最後」に扉を描く人が多いです。
もちろんそれでもOKなのですが、かなりおざなりな描き方をしているように感じられます。
描かれる絵もそうですが、タイトルもかなり安易です。

扉というのは読者が一番最初に目にするページです。
これから読もうと思っているマンガを「面白そうだなァ!」と期待させるようなページである必要があります。

そのためには、どんな内容なのかが魅力的に伝わるようなビジュアル構成と、それに連動したタイトルが重要になってきます。
考えようによっては、中身の数ページを描く以上に手間のかかる作業だったりするのです。

扉の制作はポスターをデザインする作業に似ています。
どんなコンセプトで、どのような絵とどのようなキャッチコピーをいれるのか。
具体的にどんなレイアウトにするのか。

ストーリーマンガを大変な思いをして規定のページ数で描き終えたことで、学生達は気が抜けてしまうということもあるのかもしれませんが、ただの絵と思いつきのタイトルの扉になってしまっているケースをよく見かけるのです。


扉というのは、「これから始まるマンガの内容」が伝わる事が重要です。
例えば、ホラーマンガならいかにも怖そうな雰囲気を醸し出す絵が描かれていると効果的です。

アクションを見せるマンガなら、アクションマンガだと分かる画面が構成されていなければ困るわけです。

ラブコメマンガの扉が、おどろおどろしい不気味なものでは違和感が生じるのです。

タイトルもそうです。
それらしいものが必要になります。

絵と違って、実は言葉というのは想像力を刺激します。
言葉は様々な要素を含んでいるので、言葉の選択により受け取る刺激は大きく異なることになります。

話はちょっと飛びます。
書店で面白そうな本を探す時に、当然のことながら棚に並んだ本の背表紙を見るわけですが、お目当ての作家を探すのでなければ、タイトルを見て選びます。

本棚に並んだタイトルを見てもらうと分かるのですが、想像力を膨らませるようなタイトルというのは存在します。
モチロン、選ぶ人の持っている趣味・嗜好に影響されるのですが、面白そうな本は「本」の方から声を掛けてきます。
外れることはたまにありますが、だいたい間違いなく面白いです。

私は一時期ホラー系を好み、それらしいモノを漁る事が多かったのですが、ホラー小説でもツボにハマるタイトルがついているモノは、中身も間違いなくハマりました。

ちなみに今までのベストタイトルは「怪奇小説という名の怪奇小説」。

怪奇小説っぽくもあり、ミステリーっぽくもあり、ふざけている様でもあり、何とも不思議な印象を受けました。
そのタイトルに引かれてつい購入しましたが、タイトル以上に中身は不思議で面白く、今でも時折読み返す小説です。
それ以来作者の都筑道夫さんの大ファンになりました。


マンガ家志望者は言葉を操るのは苦手なのかもしれないけれど、タイトルをつけるセンスは是非養って欲しいです。

ちなみに、かつて専門学校生の描いた作品で感心したタイトルがあります。

「彩子の左眼」(サイコのひだりめ)

マンガ自体は未熟なものでしたが、このタイトルは凄いです。



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posted by かとう at 06:06| Comment(0) | マンガ家を目指す皆さんへ
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