2012年11月27日

「鈴木先生」(武富健治・著)全11巻/双葉社



既に連載は終了していて単行本は完結しています。

今更なのですが、このマンガをご存知ないマンガ愛好家の方々にオススメです。
私自身、マンガを読むことが少なくなり、また読んでも面白いと面白いと思うマンガも少ないのですが、この「鈴木先生」はメチャクチャ面白かったです。

面白いと噂は聞いていたのですがナカナカ手を出せず、たまたまブックオフの105円で1巻と3巻を見つけたので購入しました。
とりあえずどんなマンガなのか試し読みのつもりでした。

あまりに新鮮で今までの読んだことのない面白さに驚きました。
続きが読みたくて、結局残り全巻は書店で定価で買い揃えました。
そんな経緯のある作品です。
ブックオフ以外で本を滅多に買うことがない私にしては驚くべき行動です。

マンガってあらゆる事が描き尽くされていて、新しいものが生まれにくいという固定観念があります。
しかし、この「鈴木先生」には今までに描かれたことがない新鮮さを感じました。
「論理マンガ」という言い方が適切かどうか分かりませんが、伝えたいメッセージを論理的にストーリーで見せるマンガです。

このマンガを読んだ時の新鮮さは、例えば初めて鳥山明のDr.スランプを見た時の「イラストとしても成立する魅力的な絵」で描かれたマンガの新鮮さ。
ここまで人の手で描けるのかと思わせられた、描き込みの凄さが伝わってくる大友克洋のマンガの新鮮さ。
それに匹敵するような新鮮さでした。

ただし、「鈴木先生」の新鮮さは画力の面ではなく、新たなジャンルとしての新鮮さです。

ただ単にストーリーを語るのではなく、作者の伝えたいメッセージがまず存在し、それを緻密なストーリーとして組み立てていき、その論理をマンガとして見せて納得させてしまう構成の面白さ・凄さです。

メッセージが前面に出てくると説教くさくなってしまい、読むのが鬱陶しくなるものですが、この「鈴木先生」に関しては、どういうテーマで論理が展開して行くのかが面白く、全く目が離せません。

人によって好き嫌いはあるので、すべての人に面白いマンガであるとは言えませんが、これを読まないまま人生を終えるには、あまりに勿体無いマンガです。

単行本第1巻は、論理の肩慣らし的なエピソードです。
殺人事件も起きず犯罪も起きないし、探偵も登場しないけれども、大変面白い推理ストーリーが展開します。
そして巻を追う毎に、論理の展開とテーマの面白さが膨れ上がって行きます。

ちなみに最終巻で私はボロボロ泣きました。

騙されたと思って読んでみてください。
読み終わって、騙されたと思った人にはゴメンナサイ(⌒-⌒; )
posted by かとう at 06:48| Comment(0) | この本が面白い

2012年11月19日

「おかしな二人」(井上夢人・著)



ペンネーム「岡嶋(オカジマ)二人」をもじった、70年代の映画の題名のようなタイトルですが、大変面白かったので再度紹介します。

「二人で一人の推理小説作家」の誕生から解消までの経過を、二人のうちの1人井上夢人さんが書いた本です。

マンガ家志望者にとって「マンガ作り」に大変有益な情報がてんこ盛りなのと、ドラマとしての面白さが相舞って、久々に夢中になれました。

マンガ家志望者にとって有益な情報というのは、ストーリーを構成するためのノウハウが惜しげも無く披露されているからです。

推理小説をどのようにして組み立てて行くのかという段取りを、自分の著作を題材にして解説しているのです。

推理小説は先ずトリックがあって、そのトリックをストーリーとして面白く見せるには、どのように肉付けをしていくのかを、具体的に書いています。

「どんなトリックなのか」を披露した上で書いて行くのです。

これって凄いことだと思いませんか?
絶版になってしまった本ではなく、現役で販売されている推理小説のネタバレ(犯人とトリック)をバラしてしまっているのです。
しかも、一作だけではなく、何作にも渡って解説しているのですから、驚きました。

既に「岡嶋二人」の作品は何作か読んでいたので、「あれは、こんな発想から作られていたのか!」とか「最初のストーリーからどこをどう変えてどの様に変化して完成形なったのか」とか、物語を面白く構築するための具体例が書かれていて、改めて勉強になりました。

というか、ストーリーの構築の方法が、マンガを構成する時と全く同じなので納得した、という感じでしょうか。
「マンガのマンガ2」で描いた内容と共通する部分が多かったのが興味深かったです。

ドラマとしての面白さもハンパなく面白かったです。
何故コンビを解消することになったのか、その原因や過程に「人間の性(さが)」を感じてしまいます。

マンガ家志望者に特にお薦めの本です。
posted by かとう at 19:39| Comment(0) | この本が面白い

2012年10月03日

705号室ーホテル奇談ー(宝島社)

塔山郁という作家さんの書いたホラー小説です。
お名前を存じ上げなかったのですが、タイトルにえらく惹かれました。

ブックオフでいつものように105円の面白そうな小説を漁っていたのですが、タイトルの魅力で思わず手に取ってしまいました。

読んで見たら、久しぶりに途中で読むのを止めることが出来なくなる程、メチャクチャ面白かったです。
一口にホラーと言っても面白さを感じるツボは人それぞれなので、ホラーだからすべて面白いかというとそんなことはないわけです。

ホラー作家として有名な某先生やあの某先生の小説などは、私の嗜好とは全く違うところにあるようで、読んでいても面白くなく一冊読んだだけで終わりました。

有名だからとか、よく売れているからとか、自分の好みの面白さとは必ずしも一致しないですから、自分のツボにピタッとハマる面白さを持った作家さんとの出会いは心底嬉しいものです。

私のマンガを読んで面白いと思われた方は、おそらく面白さのツボを共有していると思われます。
本屋さんで見かけたらチェックして見てくださいませ。

posted by かとう at 20:51| Comment(0) | この本が面白い