2015年10月27日

講師になって見えてきたもの


今の私の仕事の大部分は「マンガを教える・添削をする」ということに費やされていますが、こういう立場になると見えてくるものがあります。

「人に見せるためのマンガ」には描き方のレベルがあり、それぞれのレベルがクリアできて初めて「面白いマンガ」を描くには・・・・・という段階に入ることができるのだ…という道筋がハッキリ確認できるようになりました。

専門学校で「教えられること」と「教えられないこと」の線引きが自分の中でできたということです。

「人に見せるためのマンガの描き方」というのは知識(構成や演出)・技術(正確なデッサン・パース・画面構成)であり教えることができます。
その知識を実践できるように練習することで、身につけることができます。

専門学校というのは、これらを学び実践するところなのですね。


専門学校で「教えられないこと」があります。

それは「面白いマンガ」の具体的な描き方。

「面白いマンガ」を描くには、マンガを描く知識(構成や演出)や技術(正確なデッサン・パース・画面構成)だけでは足りません。
「何を面白いと感じるのか」という作者のインスピレーション・アイデア・発想が重要になるからです。
こればかりは個人の持つ「感性」に関わるものなので、教えようがないのです。


逆な言い方をすれば、「感性」のある人が専門学校に来れば、間違いなく面白いマンガが描けるようになるという事になります。
知識や技術など、程度の差はあれ時間をかければレベルアップするものだからです。



posted by かとう at 04:54| Comment(0) | マンガ専門学校の講師の仕事

2015年10月20日

マンガをみせているかどうか…が最初の関門



講談社フェーマス主催の「創作マンガグランプリ」の予選審査の為、毎年11月に数多くの投稿マンガ読ませてもらう機会があります。

予選を通過する作品と落ちた人の作品の差は、「マンガを見せているかどうか」という部分がかなり大きいです。

予選を通過しない人のほとんどの作品に共通する事があります。

世界観やキャラクターなどアイデアを出し、マンガを描くという段階になって「どうやってマンガにしていいか分らない」ので、「登場人物達の会話」で「世界観とキャラクターを伝える」という展開をさせる。

会話が行なわれる場所は酒場であったり出会ったサブキャラの家であったりします。
そして、キャラクター・世界観を会話で説明した後、主人公と敵の戦闘場面を描いておしまい・・・というパターン。
モノによっては、最後まで会話だけということもあります。

印象としては、マンガではなく設定を読まされた感じです。


セリフによる「会話だけ」では、読者に共感は生まれません。
登場する人物が行動する様子をみて、読者が擬似体験することによって感情移入ができるわけです。

表情だけでなく体験していることを実際に(マンガのコマの中で)目にすることで、その時のキャラクター達の心の動きも感じ取ることができるものなのです。

当然といえば当然ですが、予選を通過する人の作品は「キャラクター達の行動によってストーリーが展開」していきます。

自分が描こうとしているマンガの世界観・キャラクターを詳しく伝えなくては・・・・という思いが強いのでしょうが、それらは設定として抑えておくものです。

最近の風潮として、マンガを描く時「まずキャラクターと世界観を詳細に設定しよう」というような事が言われているように思うのですが、それはあくまで設定でしかありません。
それらの設定をバックボーンとして、ストーリーを構築する際に基礎にしましょうということなのです。

設定をコマで説明しても、決してマンガにはならないことを理解してほしいです。

posted by かとう at 12:26| Comment(0) | マンガ専門学校の講師の仕事

2015年10月13日

こういう学生が稀に存在する(困った編)


「がんばった事」を評価してもらいたがる学生がいた。
がんばった事に対しては、労(ねぎら)いの言葉はかけられるが、だからと言って「作品自体が優れている」という評価は出来ない。
評価は描き上げた作品の出来に対してするものだ。


「納得のいく描き方が出来ない!」と、いつまでたっても完成させられない自称「完璧主義」の学生がいた。
「納得のいく描き方」というと聞こえはいいが、「描けない」という言い訳でしかない事が多い。
まずは描き上げないと「どこに欠点があるのか」さえ判断できないものなのだ。
最初から完璧なものを描ける初心者など、滅多にいない。


ネームのチェックの際、必要な修正箇所の指摘をすると、修正をせず新しく全く違うネームを描いてくる学生がいた。
いつまで経っても先に進めないのだ。
仕方なく、修正チェックをせずOKを出すと、出来上がってきた原稿は全く違うものになっていた。


ほとんど無反応という学生がいた。
滅多に口を開かない。
プロットやネームのチェックの際に、アドバイスをしても反応がないために理解できているのか判断が出来ない。
アドバイスを参考に修正する様子もなく、マイペースで作業をし続けた。


posted by かとう at 05:54| Comment(3) | マンガ専門学校の講師の仕事

2015年10月06日

ストーリーマンガと4コママンガ


「創作マンガグランプリ」というオリジナルマンガのコンテストが講談社のKFSで毎年行われており、応募作品には全員に講評シートと講評文が返却されます。

新たに設置された4コママンガ部門用に、講評チェックシートを作った時の話。

ストーリーマンガと4コママンガの講評用のチェックシートを比べて、面白いことに気付きました。
ストーリーマンガのチェック項目の数に比べて、4コママンガのチェック項目の数はほぼ半分しかないということ。
つまり「4コママンガ」は「ストーリーマンガ」程、表現描写に気を使わなくても描けるということ。

例えば、ストーリーマンガにあって、4コママンガに無いチェック項目。
「メクリ」を意識したコマ展開が出来ているかどうか。

例えば、ストーリーマンガにあって、4コママンガに無いチェック項目その2
大ゴマや小さなコマの描き分けで、メリハリのあるコマ構成が出来ているか。

例えば、ストーリーマンガにあって、4コママンガに無いチェック項目その3
冒頭(導入部)が読者の興味を引く描き方になっているか。

その他いろいろありますが、ストーリーマンガの29のチェック項目に比べ、4コママンガのチェック項目は15でした。
4コママンガは入りやすい(描きやすい)マンガなのだろうと思います。

posted by かとう at 05:26| Comment(0) | マンガについて考える

2015年09月29日

マンガを描くための「はじめの一歩」


とりあえずいたずら描きでOK。
マイキャラで顔を描いて楽しもう。
斜め右向き、バストアップのキャラでいいです。

次に表情を描き分けてみましょう。
笑った顔、泣いた顔、怒った顔、驚いている顔などを描き分けてみるのです。
そこにフキダシを描いてセリフを書けば、キャラクラーに生命が吹き込まれます。
どんな表情とどんなセリフを組み合わせると、どんな状況のキャラクターになるのか?
たくさん描いて楽しんでみよう!

次の一歩は、キャラクターの全身を描く事。
様々な動作を描き分けてみましょう。
顔だけ描くのと違って、かなり難しくなります。
想像だけで身体の動きを描きわけるのは至難の技。
ポーズ集など本がたくさん出ているし、誰かにモデルになってもらって動きを観察して描いてみる…というのもありです。
最初は下手でも、描いているうちに描けるようになってきます。

ある程度身体の動きが描き分けられるようになったら、背景を描く練習をしてみましょう。
キャラクターと背景を組み合わせて描くと、そこに世界が生まれます。

背景をリアルに描くためには、遠近法などの知識が必要になりますし、キャラクターにリアリティーを持たせたいなら、デッサンやクロッキーのトレーニングも必要になって来るだろうと思います。

ここまでクリアできたら、マンガを描くためのステージに一歩踏み入れたことになります。
自分が作ったキャラクターを、自分の作った世界の中で、思う存分動かして楽しんでみましょう!



posted by かとう at 05:24| Comment(0) | マンガについて考える

2015年09月21日

コマでナニを見せるのか


マンガはコマ割りされた画面を通して「ナニカ」を見せる伝達表現ですが、では「ナニカ」とは何かというと「描き手が伝えたいこと」。

「伝えたいこと」が「的確に伝わる」表現になっているかが重要なのですが、読者の目に入ってくるのは「コマの中に描かれた絵」なので、絵の「上手・下手」がマンガの価値の判断基準になりがちです。

でも、重要なのは「絵の上手・下手」ではなくて、「伝えたいこと」が「的確に伝わる」表現になっているか…ここがポイント。

絵が上手くても、コマに「上手い絵が並んでいるだけ」ではマンガの面白さは伝えられません。

「コマの中に何を描くのか」によって「次のコマにどうつながっていくのか」を、タイミングを計算した「間」で見せていく。
日本の「ストーリーマンガ」は世界に類のない独特のものだと思うのですが、これが出来ていれば、たとえ絵が下手でも面白いマンガになります。



(もちろん絵が上手いに越した事はありませんけどね)(^_^;)

posted by かとう at 07:24| Comment(0) | マンガの作り方

2015年09月14日

「何が描いてあるのか分からない」と「何を描きたいのか分らない」の違い


「何が描いてあるのか分からない」マンガ(絵が描けないというのは除きます)と
「何を描きたいのか分らない」マンガの違いって分りますでしょうか?

「何が描いてあるのか分からない」マンガというのは、コマ展開をしていく中で、必要な絵が描かれていないということです。
例えば、「走っている主人公を見せる必要がある」コマなのに、主人公の上半身しか描かれておらず「走っている事が伝わらない」といった表現とか、最初に背景が描かれていないために「登場人物が何処にいるのか分からない」といった表現です。

これらは、いわゆる「マンガ表現」が分っていないために、それらの描き方で読者に伝わると思ってしまっている「何が描かれているのか分らない」マンガ。

こういう初心者の方の役に立てるのではないかと考えて、「マンガ表現」をマンガで解説したのが『マンガのマンガ/コマ割りの基礎編』というマンガです。


次に、「何を描きたいのか分らない」マンガとは、「マンガ表現」をしっかり踏まえて描かれているのに、読み終わっても何を面白がればいいのかが分らないマンガです。
ストーリーは分るし、キャラクターも動いてはいるのですが、マンガを通して「描きたいこと」が伝わらない。
内容が詰め込まれすぎていて、それらを披露するだけのマンガ。
ただ、淡々とストーリーが展開し、盛り上がりもなく、なんとなく終ってしまっているマンガ。
いったい誰が主人公で、何をしているのかが感じ取れないマンガ。

専門学校に来る「絵は描けるしストーリーもちゃんと考えられるマンガが描けそうな人」達は、ほとんどの人がこのタイプです。
こういうマンガは「構成力」が欠けているのです。

こういう人達に「構成力とは何か」を解説したのが『マンガのマンガ/ストーリー構成編』というマンガです。


専門学校に来るマンガ家志望の人は2通りに別れます。
「何が描いてあるのか分からないマンガ」を描く人か、
「何を描きたいのか分らないマンガ」を描く人です。
(時々絵が描けない人も来たりしますが・・・・・)


『コマ割りの基礎編』と『ストーリー構成編』を読めば、基本的なことは理解してもらえると期待しています。
基本的な「マンガ表現方法」と「構成力とはどういうものなのか」に気づいてもらえれば、ちゃんとしたマンガが描けるようになります。


自分のマンガは
「何が描いてあるのか分からないマンガ」なのか?
「何を描きたいのか分らないマンガ」なのか?
まず確認してみる事が大事だと思います。

もちろん、両方しっかりと描きこなせている人はOKですV(^_^)V

posted by かとう at 04:44| Comment(0) | マンガの作り方

2015年09月07日

構成力と演出力が大事


マンガを読んでもらうには、様々な手段で読み手に興味を持ってもらう必要があります。

まず、読者が最初に目を通す扉ページ。
扉絵とタイトルで興味を持ってもらう事が必要です。
扉に描かれた絵とタイトルと連動させて、興味をより大きくさせる工夫が重要。

扉に興味を持ってもらえれば、とりあえずページをめくってもらえ、最初の一コマに目を通してもらえます。
一コマ目にどんな絵を入れ、どんなセリフを伝えるか。
次のコマが見たくなるように、読者に興味を持たせる演出が必要になります。

左右見開きの最後のコマ(いわゆる「メクリ」のコマ)に、次のページの展開に興味を持たせる仕掛けをする。

こうして最後まで読者の興味を引きつけるる事で、マンガを最後まで読んでもらう事が出来るわけです。
当たり前の事だと思われるでしょーが、これがなかなか難しいのです。

思いついたストーリーをただ淡々と時系列で並べても、読者は興味を持ってくれません。
どういう語り口で、どういう構成の絵で読者の興味を引くのかがとても大切です。

ストーリー構成力と見せ方の演出力は「ストーリーマンガ」を描く上で不可欠なものですが、この事に気付かず作品を描いている方も多いようで、残念に思う事がしばしばです。



posted by かとう at 07:18| Comment(0) | マンガ家を目指す皆さんへ

2015年09月01日

難しい選択



同じ専門学校で同じようにマンガを学び、デビュー出来る人と出来ない人が出てくる事を考えると、本人の「頑張る力」が結局モノを言う‥という事なのかなぁと思います。

「これだけ」頑張ってるのにデビュー出来ないという人がいるかもしれません。
自分にとっては「これだけ」かもしれないけれど、デビューした人の量と比べると 圧倒的に足りないという事は考えられます。
あるいは、基本的な部分での才能がないのかもしれないし、単に運がないだけなのかもしれません。

で、諦めるか続けるか‥‥。

「続けていれば必ずデビュー出来る」というわけではないし、やめてしまえばそれでおしまい。

難しい選択だなぁと思います。


posted by かとう at 06:27| Comment(0) | マンガ家を目指す皆さんへ

2015年08月25日

同じ絵を3回描かねばならないマンガ制作作業


作品を完成させるには、ネームから仕上げ作業までの工程で同じような絵を3回描かねばならない。
面倒な作業ではあるのですが、案外それが楽しく感じられるのは何故なのか…考えてみました。

コマの中に描かれる「セリフと絵の連動」こそが、マンガを面白く見せる表現の特徴だと思っています。
「セリフと挿絵」の関係では、マンガとしての面白さは伝わりにくいものです。

プロットやシナリオは文字だけですが、ネームになるとコマ割りされて絵とセリフが入る事になります。
これが第1回目の絵入れ。
文字だけではなく「絵とセリフが連動したものになる」ので、シナリオより「マンガとして面白く」なっています。

下描きは2回目の絵入れ。
絵が詳細になるので、「絵とセリフの連動がより明確になる」ため、マンガとしてはネームの時よりより面白くなっているはずです。

3回目の絵入れは、ペン入れ・仕上げ作業。
仕上がった原稿は絵が更に詳細になり、加えてタッチまで伝えられるので、下描きより面白いマンガになるに決まっています。

こうして、描いている作品の「レベルアップ」が各作業毎に実感できるので、3回同じ絵を描くのが苦痛じゃないのだろう‥と私は思っています。

posted by かとう at 04:37| Comment(0) | マンガ専門学校の講師の仕事

2015年08月18日

見づらい原稿(ツイッターのまとめ)


先日行われた「ストーリー作り」のマンガ講座での話。

参加者の中に、既に担当付きのマンガ家志望者がいました。
講座終了後、「担当さんから私の描く原稿が見づらいって言われるんです。」と、最近作の原稿を見せられました。
拝見すると確かに担当は付く…と思われる程のしっかりした画力で、プロ並みの上手さ。

見づらいと思われる原因が幾つかあったので、その点をお話ししました。

1点目。
コマ内にスペースがあるにもかかわらず、フキダシが人物に被さって人物の一部が常に隠れている。
フキダシに隠れていて「絵がスッキリと見えない」コマが続くと、不満感が生じる。

2点目。
フキダシがコマからはみ出し、コマとコマに被さっている。
そういう形で描かれたフキダシを多用すると、セリフが主張して絵が目立たなくなり、見づらい画面になりがち。

3点目。
キャラクターのコマのブチ抜き表現が頻繁に描かれる。
ポイントとしての使われていればOKだが、多用されるとコマの流れが混乱し、見づらくなる。

4点目。
描きこ込んだ絵柄なのに、コマとコマの境界を1本だけで処理されているコマ割りが目立つ。
描き込んだ絵柄を1本に枠線で区切ると、枠線が目立たなくなり2つのコマの絵の見分けがつきにくくなる。
「間白」をとってコマの区別をつけると見やすくなる。

この文章だけでは伝わりにくいと思いますが、原稿の該当部分を指摘してアドバイスをしたので、ご本人には伝わったようでした。

ビジュアル的な表現に関して編集の方は専門外なので、「見づらさ」は感じても、「どう描いたら見やすくなるのか」というアドバイスは難しい のだろうな…と思いました。




posted by かとう at 06:06| Comment(0) | マンガ家を目指す皆さんへ

2015年08月10日

「5W1H」ってどういう風に考えればいいの?


「マンガの描き方」本には

「5W1H」をしっかり描く事が大切

…ということは書かれていても、マンガを描く上で「どう活かしたらいいのか」に関しては具体的な説明はほとんどなく、曖昧な扱い方が多いようです。

分かる人には分かるのかもしれませんが、過去の独学中の私には分かりませんでした^^;
好きな先生方のマンガをたくさん読んでいるうちに、「マンガを描くノウハウ」を自然と身につけるようになったのですが、「5W1H」に関しては結局のところよく解らないままでした。

マンガ家志望者の作品添削の仕事や学校での学生達の作品を見ていると、作品として成立していないものが多く提出されます。
何が足りないのだろうか? と思案した末に、「5W1H」が描かれていない事に気付き、なるほど「5W1H」とはこういう事なのか!と初めて自分でも理解できた次第です。

「ストーリーマンガ」の構造について理解しておかないと、「5W1H」をどうしたらいいのか混乱すると思います。
私自身がそうでした。

「ストーリーマンガ」は、エピソードの組み合わせで構成され、一つのストーリーとして成り立っています。
各エピソード毎に「5W1H」が必要になり、全体を通した「5W1H」は別に「本筋」として必要になります。


分かっている人にとっては当たり前のことなのですが、分かっていない人も多いです。
エピソードの「5W1H」と全体の「5W1H」を混同している人が特に目立ちます。
知っていれば、何が足りないのかが容易に判断できるようになります。
「5W1H」について、具体的に解説したマンガの描き方本を見た事がないので(あったらすいません^^;)、講師をしている立場として描く必要性を感じました。
「5W1H」を理解できなかった過去の自分に向けて描いたのが「マンガのマンガ/ストーリー構成編」というマンガです。

宣伝になってしまい申し訳ないのですが、かなり「5W1H」を理解する足がかりにはなるのではないかと考えています。

image.jpg
「マンガのマンガ/ストーリー構成編」の一部。

posted by かとう at 20:17| Comment(0) | マンガの作り方

2015年08月04日

「ストーリーマンガ」を描くエネルギー


いたずら描きのようなマンガを描き始めたのが中学生の時、オリジナルのキャラクターを作って本格的に「ストーリーマンガ」を描き始めたのが高校3年生の時ですから、既に50年近く何らかの形で「ストーリーマンガ」に関わっていることになります(もっとも、プロとして原稿をお金に換えることが出来るようになった時間はその1/3くらいの時間ですが)。

つくづく思うのですが、「ストーリーマンガ」を描くにはとてつもないエネルギーが必要なのだと感じます。
なぜこんな事を書いたのかというと、専門学校での「ストーリーマンガ」製作の授業では学生達は「描く作業」をするわけですが、その進行状況をチェックしながらアドバイスをして指導していると、学生達がひたすらただ描くだけの時間が流れていくわけです。
下描きやペン入れ作業に入ると、ただ作業を見守るだけという授業の週もあったりします。
学生達が机に向かってペンをひたすら走らせている様子を傍から見ると、先週と同じ事している様にしか見えないけれど、ページは進んでいるのが確認できます。
手の早い遅いの差はあるにしろ自分もこういうことをして描いてきたわけですから、人並みではない根気と集中力の凄さを改めて感じたのです。
実際に今私が受け持っているクラスの子は(全員ではないのがチョット残念ですが)、授業時間中はものすごい集中力で作業をしています。

でも、「ストーリーマンガ」を描くということは、それが「当たり前」であり「大前提」なのです。
それが出来ないと、「ストーリーマンガ」は描けるものではありません。
集中力・持続力が基本としてあって、その上に演出力や絵の技術力やストーリーの構成力など向上が必要になるわけですから、習得するためのエネルギーは膨大なものになります。
自分のことを振り返ると、それらのことを少しづつではあるけれど確実に身につけてきたわけです。


身につけるべき必要な技術は様々ありますが、基本的に大事なことは「ストーリーマンガ」を「描くのが好き」という「エネルギー源」を持っていることです。
そして、ひたすら描くこと。
すべての技術はいつの間にか身に付きます。

最近は歳のせいか頑張りがきかなくなっていて、若い学生の体力・集中力がとても羨ましく思える今日この頃です。



posted by かとう at 05:49| Comment(0) | マンガ専門学校の講師の仕事

2015年07月28日

ネームの話


ネームというのはコマ割とコマ展開の構成をすること。
絵を上手く描こうとするよりも、コマ割・コマ構成の方に力点をおいて作業する事が重要。
絵を描くのは「下描き」の時が「本番」です。

連載中、今一つ納得できない箇所があるネームを描くと、その部分に編集のチェックが入り「ああ、やっぱり…」ということがよくありました。
学生のネームを見てチェックを入れると、「そこ、すごく迷ったんです」と必ずと言っていいほど答えが返ってきます。
「同じだ(⌒-⌒; )」と可笑しくなる事があります。

初心者は描いたネームを元に忠実に下描きをしがちですが、ネームはあくまでコマ展開の段取りでしかありません。

したがって、「下描き」作業の際にはネームをそのまま原稿用紙に清書するのではなく、コマの形や大きさの調整や絵のバランスなどの「ビジュアル処理の最終調整」が必要になります。

ネームも下描きも、コマの中に絵を描く作業に違いはありませんが、目的が異なるということを意識しておく必要があります。


posted by かとう at 07:19| Comment(0) | マンガ家を目指す皆さんへ

2015年07月21日

「失敗作は描きたくない」という思い。


「失敗作は描きたくない」という思いは誰でも考えることだと思いますが、描き上げてみない事には判断が出来ません。

躊躇(ちゅうちょ)していてるうちは失敗作は描かないで済みますが、それではいつまでたっても上がりません;^_^A

講師という仕事をしていてつくづく思うのですが、マンガの描き方を教えるというのは難しいものです。

上達する方法は最終的に本人が作品をたくさん描くことなのですが、いざ作品を描くとなると大変な労力を必要とします。

できれば失敗作は描きたくないと思うのは理解できます。
面白い作品を描いて、一発で賞を取りたいと目論む気持ちも分かります。

でも、描くこともせず頭の中でいろいろひねくり回しても、それは所詮は自己満足の妄想でしかありません。

それを紙に表現してこそ作品となり、講師としてその作品にアドバイスや描き方の方法を伝えることができます。

熱心な学生さんは一生懸命作品を描きます。
でも、描かない学生さんも確実に存在します。

「描けない」のかもしれないけれど、自分が描かないことには先へ一歩も進みません。

描かない学生さんには、残念ながら私は何の役にも立てない(^_^;)

何かの縁で出会ったわけだから何とか力になりたいと思うのだけれど、なかなか思い通りにはいきません。


posted by かとう at 07:14| Comment(4) | マンガ専門学校の講師の仕事

2015年07月14日

誘惑のコマ



「誘惑のコマ」というマンガ用語をご存知の方はほとんどいないと思います。
なぜなら、私が勝手に作ったマンガ用語だからです(⌒-⌒; )

「誘惑のコマ」の意味は「マンガのマンガ」(コマ割りの基礎編)の方で解説してありますが、結構重要なテクニックだと思っています。

image.jpg
「マンガのマンガ/コマ割りの基礎編」より


マンガには「メクリ」というテクニックがありますが、それの「コマ間」版だと考えてもらうと分かりやすいと思います。
一コマ読んだら次のコマが気になって、気がついたら最後まで読んでいた・・・・・理想的なマンガの見せ方だと思いませんか?

実は私は投稿時代、初期デビュー時代にはネームなど描いたことがありません。
もちろんプロットもシナリオも「書いた」事がありません。

アイデアと大雑把なストーリーを頭の中でまとめ、何ページで描くのかを決めておもむろに1ページの一コマ目から原稿用紙に下描きをし、一コマ目を描いたら二コマ目と順番にコマを描いていました。

その時に重要だったのが、コマの繋がり具合。
一コマ一コマを面白く描かないと、描いている自分が飽きてしまいます。

次のコマはどうなるのだろうと、ドキドキしながら自分で描いて楽しんでいました。
行き当たりばったりの展開になってしまいがちですが、どうなるのか分からない面白さはあったように思います。

私のホームページのコロコロコミック掲載以前のマンガ(COMとマンガ少年の作品)はすべプロット、シナリオ、ネーム無しの原稿直描きです。
そんな経緯を経てマンガを描いているので、「誘惑のコマ」という意識が出てきたのだろうと推測しています。

だから何なの?というハナシなんですけど(*^◯^*)


ちなみに、ネームを描いた方が更にしっかりした構成のマンガを描けるのは間違いありません。
編集との打ち合わせにもネームは必要なので、描かざるを得ないという事情もありますね^^;

posted by かとう at 05:28| Comment(0) | マンガ専門学校の講師の仕事

2015年07月07日

「キャラクターを立てる」という意味


「キャラクターが立っている」とか「立っていない」という言い方があります。

読者に「どういうキャラクターなのか」が「伝わる」か「伝わらない」かという事なのですが、勘違いしてキャラクター設定を丁寧に考える人がいます。

血液型とか星座とか生年月日とか、好きな食べ物とか好きな色とか…。
無駄とは言いませんが、それだけではキャラクターは伝わりません。

「日頃こういう事を考えている奴」で「もしこんな事が起こったら、コイツはきっとこういう事をする!」と読者に分かるキャラクターを具体的に描く事で、キャラクターは立ってきます。

「どういう事を考えているのか」や「どういう行動をするのか」の内容が、読者にとって興味があり、魅力的であればある程「キャラクターの立ち加減」が大きくなります。

「キャラクターが伝わらないと、キャラクターは立たない」。
なぜかと言うと、「どんなキャラクターなのかが解らない」と「読者は共感が出来ず、感情移入が出来ない」という単純な理由です。

キャラクターを立てるためには、基本的には「どういうキャラクターなのかが分かるエピソード」を描くのが一般的です。
キャラクターを伝えるための「短いストーリー」を用意しておきましょう、という事です。

注意が必要なのは、「マンガを描きなれない人」はこの「どういうキャラクターなのかが分かるエピソード」だけ描いて完結という作品を描きがちな事です。

「キャラクターが分かるだけ」では、「ストーリーマンガ」として成立しません。
「キャラクター紹介マンガ」でしかないので、「未完成なマンガ」としての印象を持たれます。

「キャラクターを立てる」は、ビジュアルの点でも重要になってきます。
どういうキャラクターなのかが「ビジュアルでも」伝わる描き分けが必要だという事です。

特に主人公は、見ただけで「こんな主人公!」と分かるようなキャラクター造形が望ましいです。
「その他大勢」的なキャラクターのビジュアル造形では、主人公としての魅力は伝わりにくいです。




posted by かとう at 06:15| Comment(0) | マンガ家を目指す皆さんへ

2015年06月30日

「ストーリーマンガ」を描く初心者にありがちな事。


●初心者は描いたネームを元に忠実に下描きをしがちですが、ネームはあくまでコマ展開の段取りでしかありません。
「下描き作業」はネームをそのまま原稿に描くのではなく、コマの形や大きさの調整や絵のバランスなどの「ビジュアル処理の最終調整作業」だということを意識する必要があります。

●初心者が描きがちなマンガに「キャラクターを見せるだけ」というのがあります。
キャラクターを紹介するエピソードが描かれているだけで、「で、そういうキャラクターが何をするの?」が描かれていない。
キャラクター紹介のエピソードが「ストーリー」だと勘違いしているのだと思います。

●マンガ原稿用紙の裁ち切り枠(仕上がり枠)上に枠線を描いてしまったり、タチキリのコマなのに裁ち切り枠までしか絵が描かれていなかったり、とじしろ部分にセリフや重要な絵が描かれていたり。
「マンガの原稿の描き方」を無視して描きがちです。

●どのコマの中にもセリフを入れようとする傾向がある事。
「セリフでストーリーを伝えようする」からだと思うのですが、それではコマの中に描かれた絵は「さし絵」でしかなくなってしまいます。


共通して見られる傾向です。
簡単に克服できる事もあれば訓練が必要必要な事もありますが、とりあえず心に留めておいていただけたら…と思います。

posted by かとう at 05:01| Comment(0) | マンガの作り方

2015年06月23日

マンガ制作過程のポイントや心がけ


人それぞれだと思いますが、マンガを描く各作業の私なりのポイントや心がけなどを書いてみました。

アイデアやストーリーは常日頃から寸暇を惜しんで妄想し、片っ端からストックしておきます。
描きたい事が沢山あるとプロット(あらすじと考えてください)作りは戸惑うモノですが、一つに絞って「とりあえず今回はこれにしよう!」と「決めます」。
そのプロットを肉付けをして、頭の中で「映画のように」上映します。

その時点で大まかなイメージが固まってくると思うので、それをシナリオ風に文字でメモしていきます。
シナリオを書く時のポイントは、「固まったイメージ」を言葉に変換して「一気に」書く事です。
時間をあけると、「こうした方がいいかも…」と迷いが生じます。

シナリオを書く際に気をつけなくてはいけない事。
主人公が中心になって行動しているか。
「5W1H」がちゃんと書かれているか。
(「マンガのマンガ/ストーリー構成編」をご参照ください)

ネーム(絵コンテ)描く時は、エピソードを塊として描き分けていくとキリがよく、その都度達成感も得られます。
ネームはしっかりと「頭を使って」細部まで組み立てておくと、後の作業が楽になります。

下描き・ペン入れ・仕上げ作業は、ネームを元にリライトするだけの肉体作業です。
「頭を使わず」というのがポイント。
この段階で、「こうした方がいいかも…」などという邪念は一切持たない。

好きな音楽などを聞きながらリズムにのって、手をひたすら動かすといいです。
私はこういう感じでずっとマンガ描いていました。
何かの参考になれば幸いです(⌒-⌒; )


posted by かとう at 07:14| Comment(0) | マンガ家を目指す皆さんへ

2015年06月16日

売れるマンガの「具体的な描き方」は誰も教えられない


画力はOK!
効果線や背景効果・描き文字といったマンガ表現も完璧!
コマ割り・コマ展開・視線誘導すべて習得済み!
5W1Hもちゃんと理解した上で、ストーリー構成も的確に組み立てられる!
後は「売れるマンガをどうやって描いたらよいかを学ぶ」だけだ!

こういうマンガ家志望者がもしいたとしたら、専門学校にきても満足な結果は得られないと思います。

「売れるマンガ」の「具体的な描き方」など、学校で教えることなど出来ません。
そもそも「売れるマンガ」を「具体的に描く方法」など誰が知っているのでしょう。
「抽象的な方法」ならいくらでも教えられます。

魅力的なキャラクターを作り上げろ!
斬新なアイデアのストーリーを!
奇抜な世界観を造り上げろ!


でも、魅力的なキャラクターってどんなキャラクター?
斬新なアイデアってどういうアイデア?
どういうのが奇抜な世界観?
それが出来ないから苦労しているはずです。
仮に、それらに該当するものが出来たとしても、それが「売れるとは限らない」。

大ヒットしたマンガをいくら読んでも、それは「そのマンガだから売れた」ということしか分からない。
マンガは「結果として売れた」ことは分かっても、「こうすれば必ず売れる」という決定的なモノなど分からないものなのです。

「必ず売れる具体的なマンガの描き方」があるなら、マンガ家も出版社は苦労はしません(⌒-⌒; )




posted by かとう at 05:40| Comment(0) | マンガ専門学校の講師の仕事